不動産投資

【ほぼ詐欺】引っかかる人が続出の高額不動産投資勧誘(続き)

 

どこが”ほぼ詐欺”なのか徹底解説

25歳・会社員
初期費用が10万円で済んで、赤字にはなるけど、それでサラリーマンとして納めていた所得税を取り戻せるんでしょ。

よく分からないけど、最終的に利益が出るなら悪い話ではないように思うけど、ダメなの?

 

100%ダメではないけど、99%ダメだね。

理由はこれから説明するね。

一歩

 

 

”ほぼ詐欺”という言葉の意味

先ほどから私は「ほぼ詐欺」という言葉を繰り返し使っています。

なぜそのような回りくどい言い方をしているか先に説明しておきます。

 

先ほど例にあげた物件は、特に法律に違反するような物件ではありません。

ただ、上記の物件を購入すればあなたの不動産投資は確実に躓きます。

おそらく、次の物件(2件目)を購入することは難しいと思います。

 

簡単に言うと、先ほどの物件は販売価格が相場を大きく上回っているのです。

結果として、ローンを返し続けるにはずっと高い家賃を設定し続けなければなりません。

10年後も、20年後も。

でも、年々建物は老朽化します。

古くて家賃の高いマンションにあなたは住みますか?

最寄り駅徒歩3分以内なら、「利便性」が「物件の古さ」に勝つかもしれません。

でも、10年、20年の間に周辺には新しいマンションが建設されます。

それらのライバルも90,000円くらいの家賃です。

あなたのマンションは隣に建った新築マンションに勝てますか?

 

ただ、あなたが不動産投資の知識がなかったにせよ、この物件を購入するとすれば、あなたの自由な意思によるものです。

決して、違法な商売ではないのです。

 

例えば、このマンションが実は家賃設定が70,000円なのにも関わらず、販売チラシに90,000円と書いていれば、明らかに虚偽の記載です。

これは違法であり、詐欺と言えるでしょう。

 

あなたがこの物件を購入したとすれば、数年のうちに「騙された!」と嘆くかもしれませんが、不動産業者は違法行為を働いたわけではないのです。

あなたが無知なのが悪いのです。

あなたがちゃんとシミュレーションしなかったのが悪いのです。

不動産業者に身を委ねてしまったのがいけないのです。

 

ですが、この不動産業者の営業手法は”不親切”ですし、”悪意”すら感じる商売だと思います。

仮に不動産業者が本当に不動産のプロであるならば、この物件を購入すればどういう末路が待っているかということくらい分かります。

それを承知で販売するわけですから”悪意”を感じざるを得ません。

 

ですから、決して違法ではない(詐欺ではない)ですが、限りなく粗悪な商品を売りつけようとする営業行為について、私は”ほぼ詐欺”と表現するのです。

 

私は”不動産投資を始めようとしているあなた“を応援したいという立場です。

そんな私ですが、少しだけ厳しいことを言わせてください。

多くの人が「騙された」「詐欺だ」と言っているのは、筋違いなわけです。

自分の無知を棚にあげて、不動産業者の”不親切”な営業行為を逆恨みしないでください。

 

この感覚が理解できない人は、不動産投資は向かないかもしれません。

 

「腹立たしいけど、それはそれで正論だな」と思える人はこの先を一緒に読み進めましょう。

 

どこが”ほぼ詐欺”なのか徹底解説

■おさらい

今回、不動産業者に提示された販売物件のイメージはこうでした。

 

さて、どこが”ほぼ詐欺”なのか見ていきましょう。

 

■販売価格が高い

この物件は販売価格が市場の相場を大きく上回っています。

2,700万円となっていましたが、市場の相場としては、1,800万円といったところでしょう。

私は価格にうるさい人間なので、私だったら、1,500万円くらいでないと買いません。

 

「市場の相場」と簡単に言ってしまっていますが、こればっかりは多数の販売チラシを見て、感覚として感じていくしかありません。

エリア、駅からの距離、築年数、間取り(広さ)、家賃、など複数の要素が関連しますので、すぐに感覚を身につけるのは難しいかとおもいますがクイズ感覚でやってみると面白いでしょう。

感覚といっても、すべての要素に万能というのは難しいです。

私は東京の住まいが長かったので、東京都内でしたら何となく土地勘があります。

なので、広尾や田園調布が高級住宅街であることや、北区、足立区あたりは比較的庶民的な地区であることを知っています。

 

最初に物件を購入する場合は、自分の知っているエリアという選択肢も良いと思います。

あなたも、「この辺りの物件を買いたいな」と思うエリアの物件チラシを集めるなどして、特定のエリアの価格相場情報を蓄積していくと良いでしょう。

 

ちなみに、2,700万円と1,500万円(私目線の希望金額)で月々の収入がどのくらい違うかシミュレーションしてみましょう。

【2,700万円の場合】※すべてローン利用

<収入>

家賃 90,000円

<支出>

ローン返済 89,440円

管理費     4,960円

修繕積立       1,000円

管理会社委託費 3,000円

合計     98,400円

≪収支≫

利益  ▲8,400円(毎月8,400円の赤字)

 

【1,500万円の場合】※すべてローン利用

<収入>

家賃 90,000円

<支出>

ローン返済 49,689円

管理費     4,960円

修繕積立       1,000円

管理会社委託費 3,000円

合計     58,649円

≪収支≫

利益    31,351円(毎月31,351円の黒字)

 

販売価格が倍近く違うわけですから、当然の結果と言えば当然の結果です。

しかし、毎月赤字を自腹で補填するのと、3万円でも黒字となって貯蓄されていくのは、気持ちとして大きく違います。

 

■リスクの想定が甘い

不動産業者は月々5,000~10,000円の赤字を「団体信用生命保険という生命保険の費用くらいに考えれば良い」と言います。

ですが、もし入居者が退去してしまったら、リフォームなどで最低1ヶ月は空室となります。

その月は「団体信用生命保険という生命保険の費用くらいに考えれば良い」という金額が98,400円となります。

空室が2ヶ月続く、3ヶ月続くこともあるかもしれません。

払い続けられますか?

 

この不動産業者に質問してみました。

「空室になったら、98,400円の出費ですよね。空室のリスクをどの程度考えているのですか?」と。

すると、不動産業者の回答はこの一点張りでした。

「このエリアは90,000円よりも高くても借り手がつくから、心配ないですよ」と。

 

全く信用ができませんでした。

 

北池袋駅から徒歩7分、大塚駅から徒歩12分。

こんなに駅から離れていたら、ライバルとなるマンションは星の数ほどあります。

 

仮に1,500万円で購入していれば、毎月3万円の黒字です。

これを2年近く繰り返していれば、72万円の貯蓄ができます。

こうなれば、契約更新のタイミングで入居者が出て行ってしまい、1ヶ月、2ヶ月、空室になってもそれまでの貯蓄を切り崩して、耐えることができます。

 

また、もし、入居者がなかなか決まらなければ、家賃を下げることだってできます。

 

■出口が見えない

2,700万円で購入してしまうと、毎月赤字であることは理解いただけたかと思います。

次の項でも説明しますが、当初の目的だった「サラリーマン収入による所得税を取り戻す」ことも上手くいきません。

そうなると、あなたは気づきます。

「騙された、、、」と。

 

すると、あなたは、「損をしてもいいから、売ってしまって清算しよう」と考えるでしょう。

そこで、売却のシミュレーションをしてみます。

 

あなたは、2,700万円で購入したので、2,700万円で売却したいと考えます。

もしかしたら、それまでの赤字分を取り戻すべく、3,000万円で売却したいと欲を出すかもしれません。

でも、なかなか売れません。

 

この際、多少の損は仕方ないと思って、不動産業者に聞きます。

「正直、この物件はいくらなら売れそうですか?」と。

 

不動産業者はこう答えるでしょう。

「我々で買い取るなら1,000万円くらいですかね」

「仲介という形であれば、1,800万円くらいなら買い手がつくかもしれません」

 

1,000万円!?

発狂してしまいますよね。

不動産業者が買い取る場合は、市場の相場価格(販売価格)よりも安く仕入れて、利益を上乗せして新たな不動産投資家に転売しますので、安く買い叩かれます。

「仲介」というのは、不動産業者は売主と買手を仲介するだけなので、不動産業者はリスクを負いません。

ですので、市場の販売価格に近い価格を教えてくれるでしょう。

 

1,000万円は受け入れがたいので、あなたは「仲介」を選びます。

それでも1,800万円です。

 

あなたが、銀行から借りたローンは2,700万円。

1年や2年程度ではローンはほとんど減りません。

(最初の数年は返済額のほとんどが利息分のため)

ですから、ローンは2,700万円そのまま残っていると仮定しましょう。

 

2,700万円のローンが残っていて、売却できるとしても1,800万円。

物件を売るときは、同じタイミングでローンの一括返済がルールとなります。

1,800万円で売れたとしても、同時に銀行に2,700万円を一括返済しないといけない。

差額の900万円はどうやって調達しますか?

 

つまり、損を覚悟で売却すると言っても、損害が大きすぎて売りたくても売れないのです。

 

貸してもダメ、売ってもダメ。

「出口が見えない」とは、まさにこういう状態を言います。

 

では、どうしたらいいのか。

毎月の赤字を払いながら、貸し続けるしかないでしょう。

そして、サラリーマンの収入を少しずつ貯めて、物件のローンを繰り上げ返済していくしかありません。

サラリーマンの収入を毎年どのくらいずつ貯められるかにもよりますが、早くても15年、遅ければ25年くらいはこの悪夢から抜け出せないでしょう。

 

■所得税を取り戻すのは難しい

私は一つ前の項でさらりと「当初の目的だった『サラリーマン収入による所得税を取り戻す』ことも上手くいきません」と言いました。

 

これこそが一番”ほぼ詐欺”だと言えます。

 

ただ、不動産で最もややこしい確定申告の話をしますので、意味不明でしたら、今は理解できなくても問題ありません。

「ふーん」と思ってください。

 

所得税を取り戻すには、サラリーマンの収入(黒字)と不動産投資ビジネスの収入(赤字)を合体させて、トータルで0(ゼロ)、もしくは赤字に近づけるものです。

つまり、不動産ビジネスの収入(収支)を赤字にする必要があります。

 

2,700万円で購入したケースでは確かに、月々8,400円の赤字でした。

しかし、ここが不動産投資の少し難しいところなのですが、これは「見せかけの赤字」なのです。

 

確定申告という、ビジネスをする上では収支の計算方法は異なります。

何が異なるのか。

異なる点は2つあります。

  1. ローン返済額は「利息分」しか費用扱いされない
  2. 減価償却費という魔法の費用がある

【1について】

確定申告においては、ローン返済額は「利息分」しか費用扱いしてもらえません。

どういうことか。

ローンの返済にあたっては、「元金」と「利息」があります。

「元金」は本来であれば、あなたが現金で購入していれば発生しないものということで、費用扱いしてもらません。

「利息」はローンを利用したことにより「本来発生しなくてもよいはずの手数料」ということで費用扱いになります。

難しいですよね。

一回聞いただけでは理解できないと思います。

今はそれで大丈夫です。

 

ちなみに、2,700万円を全額ローン(金利2%、返済期間35年)の場合、月々のローン返済額は89,440円でした。

このうち利息分は約45,000円です。

 

つまり、確定申告的には、月々の収支はこうなります。

【2,700万円の場合】※すべてローン利用

<収入>

家賃 90,000円

<支出>

ローン返済「利息分」 45,000円

管理費     4,960円

修繕積立       1,000円

管理会社委託費 3,000円

合計     53,960円

≪収支≫

利益  36,040円

 

現実世界では月々8,400円の赤字なのに、確定申告的には月々36,040円の黒字扱いなのです。

これを12ヶ月続けたら、不動産投資ビジネスでも約43万円ほどの黒字ということになってしまいます。

 

【2について】

減価償却という魔法の費用があります。

これも確定申告の世界のバーチャルな話です。

物件(不動産)はそれ自体が資産であり、価値があります。

しかし、その価値は年々下がっていきます。その毎年失われていく価値を費用扱いしても良いという話です。

全く意味が分かりませんよね。

今はそれで大丈夫です。

 

費用扱いできるということは、不動産投資ビジネスの収入を赤字に近づけることができる”ありがたい”魔法ということです。

 

この減価償却という費用は一体どのくらいなのか。

減価償却費用は毎月というよりは、1年単位で考えます。

この物件のスペック(構造、築年数、広さ)からすると、1年あたり約12万円を減価償却費用とすることができます。

 

【1】と【2】を合算すると、確定申告的には、43万円ー12万円=31万円の黒字となります。

 

現実世界では毎月赤字なのに、確定申告の世界では月々の収支は黒字。

減価償却を費用として計算しても年間で黒字となってしまいます。

 

本来は、サラリーマン収入の黒字分(数百万円もしくは百数十万円)を相殺できるほどの赤字が必要なわけですから、遠く及びません。

これでは、サラリーマン収入による所得税を取り戻すのは難しいです。

 

 

 

不動産業者の電話勧誘を無視すべし

不動産業者がさも”ほぼ詐欺”集団だという感覚を持ってしまいがちですが、彼らが全員”ほぼ詐欺”集団であれば、今頃法律も厳しくなって取り締まられているでしょう。

そうなっていないということは、不動産業者も全部が”ほぼ詐欺”ではないということです。

 

不動産業者は「居酒屋」と同じです。

新宿の歌舞伎町の雑居ビルに入っているような居酒屋は店の周辺で”キャッチ”を繰り返してますよね。

お酒も美味しくないし、最初に聞いていた料金とも違ったりするし。騙された気分になることが多いです。

でも、世の中の全部の居酒屋でキャッチをしていて、粗悪な料理かというとそうでもないはずです。

中目黒とか三軒茶屋をはじめ、ひっそりとしていて料理の美味しい居酒屋さんもありますよね。

だから、「居酒屋=キャッチ」とか「居酒屋=ぼったくり」ではないわけです。

不動産業者もそれと同じだということに不動産投資を10年くらい続けてみて気がつきました。

 

料理の美味しいお店やコスパの良いお店は宣伝なんかしなくても、ネットの口コミで自然と繁盛するものです。

逆を言えば、料理の美味しくないお店やコスパの悪いお店は、積極的に宣伝しなければお客さんを獲得できません。

 

電話で不動産の勧誘をしてくる不動産業者は後者ということです。

 

ですから、初心者の方は不動産業者の電話勧誘を全て無視していいのです。

 

不動産業者にアプローチする時の鉄則をまとめてみましたので、興味のある方は是非ご覧ください。

 

 

また、これから不動産投資を学びたい人にはこちらが参考になると思います。

 

 

 

千里の道も一歩から。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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